思い出の電子ポスト民事訴訟【2】






結論から述べますと、電解コンデンサ(C105)の破損原因は,負電圧(−12V)レギュレ
ータ回路の「初歩的な設計ミス」によるものと判断します。
つまり図1、図2のように、正電圧を得るためには正電圧用の三端子レギュレーターを用
い、負電圧用には負電圧用の三端子レギュレータを用いるのが一般的です。しかし、当該
機の場合、図3のように正電圧用の三端子レギュレータを負電圧用として使用したため、
様々な問題が発生したものと考えられます。

当該機の電源部のように,正電圧の定電
圧回路により負電圧を得る場合は,いくつ
かの問題点があります。
そのひとつは、トランジスタ(Q101)が正確
に動作しても、変圧器(T1)側から侵入する
比較的高周波のノイズ成分は,分布容量C
sを通じてバイパスされ,トランジスタ(Q10
1)が完全にOFFであってさえノイズ電流In
により出力側に出てしまうことです。

この現象は,変圧器や平滑コンデンサ,パ
ワートランジスタ,レギュレータ(IC101)と
いう,いずれも分布容量が大きなパーツば
かりが関係するため,比較的低い周波数か
ら認められ,本機のような高周波のスイッチ
ングレギュレータを採用した場合は,それ
が顕著になります。

計算でこの効果を推定するには,分布容量
Cs,ノイズ電圧Vnを仮定すると,出力に現
れるノイズ電圧Vnoは,出力側に現れるリ
プルやノイズは,定電圧回路の性能ではな
くて,コンデンサのみで食い止めなくてはな
らないことになります。

以上の結果,かなり高周波の短絡電流(ノ
イズ電流In)が流れ,電解コンデンサの寿
命を著しく縮めた(後述)ものと考えます。
特に,リアクタンスが非常に小さい大容量コ
ンデンサ(C105)がその影響をもろに受け
たと考えます。

【図1】 正電圧レギュレータ


【図2】 負電圧レギュレータ


 【図3】 当該機MF-201の負電圧
レギュレータ部の基本回路




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