思い出の電子ポスト民事訴訟【1】

私がNTT製ファクシミリの鑑定を依頼されたのは昭和62年の12月でしたから、も
う17年以上も前の話しです。昭和62年12月,室蘭工業大学の助教授「当時(北
海道大学出身)」から,NTT製ファクシミリの鑑定について調査依頼がありました。

その事情は、まだ一般にはファクシミリがあまり普及していなかった頃で、当時の
ベンチャー企業でもあった電子ポスト社がNTTから大量のファクシミリをリースし、
喫茶店や商店などを中心に全国に配置したそうです。しかし、そのNTT製ファクシ
ミリ自体に故障やトラブルが多く、特に電源部のコンデンサの破損が目立ったた
め、私にその原因調査を依頼したいということでした。

NTT側は、いつまでたってもリース料を支払わない電子ポスト社に対し、数億円と
いう損害賠償を請求する民事訴訟を起こしておりました。一方、電子ポスト社側
は、故障ばかりのファクシミリのリース料など、その原因が解明されるまでNTTに
は支払わないことにしていたようです。

私が、電子ポスト社側と初めて面談したのは,昭和62年12月中旬で,正式に
NTT製ファクシミリ(MF201電源部)の調査を依頼され,実験,測定結果に基づ
き,裁判所への報告書を作成しました。また調査に当たり,北海道大学工学部、
旧電気工学科および旧原子工学科の教官,技官の見解や意見も参考にさせて
頂きました。

したがいまして,私の立場はあくまで中立であり,裁判の結果についての利害関
係は,全く存在しない事を申し上げるとともに,本事件が円満に解決されるよう期
待しておりました。当然、電子ポスト社側からの調査料や謝礼などは一切ありま
せん。
報告書の内容は,電子ポスト社側の要望で,一般の方、特に本件の裁判長にも
理解できるように説明させていただきました。



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