思い出の電子ポスト民事訴訟【3】

その証明として,コンデンサ(C105)を取り除いたときの電源部のシンクロスコー
プの写真を観察しますと,一定の短絡電圧(0.5V)に,非常に高い周波数(約1
70KHz)が重畳されていることが分かります。これはレギュレータ(IC101)のル
ープゲインが大きいために発生する寄生振動成分と思われます。
したがって,この場合のコンデンサは,平滑用のためではなく,寄生振動のバイ
パス用と考えられるため,当該機が採用している220μFもの大容量は必要あり
ません。実験した限りでは,0.1μF程度でも十分でした。

また,たとえ正常に動作している機械があったとしても,図2の分布容量Csが小さ
く,ノイズ電圧Vnによる影響が少ないだけで,コンデンサの劣化は時間の問題で
す。特別仕様のコンデンサを採用したとしても短絡電流を流したのでは,正常な
使用方法とは言えません。

当該機の場合、ファンの内部抵抗および抵抗R102は,コンデンサのリアクタン
スに比べると抵抗値は非常に大きいため短絡電流の消費については効果はあり
ません。また,逆電圧防止用と思われるダイオード(D103)は,1V以下,特に
0.5V以下では,ほとんど電流が流れず,これについても効果はありません。

したがいまして、負電圧レギュレータ回路の改善例は通常,図2のような回路を採
用すべきであり、負電圧を得る為には,このように設計するのが一般的で特別な
回路ではありません。
この場合,三端子レギュレータ(IC101)は負電圧専用レギュレータを採用しま
す。この回路ですと分布容量Csの影響はほとんどありません。

補足として,電解コンデンサの寿命に大きく影響する要因は,リプル電流,印加電
圧,周囲温度の3点があります.したがって,コンデンサ自体の寿命を考えた場
合,次の点に留意すべきです。

 1) 電源整流には全波整流回路を採用すること。
 2) コンデンサの周囲温度はできるだけ低く設計すること。
 3) スイッチングレギュレータやDC−DCコンバータの場合は,極力,発振周波
数を下げること。
(10KHz以下が望ましい)。

全波整流にする理由は,コンデンサに対するリプル電流を制限するためです。当
該機の場合は半波整流ですが,コンデンサC102,C103にて十分にリプル電流
がバイパスされ,更に三端子レギュレータ(IC101)にて定電圧が得られていま
す。



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