DISCOVER北海道



本州の旅行者が東北に旅する時、仙台まできますと、青森まではも ういくらもないと錯覚する人がありますが、これは大違いで、東京か ら仙台よりも仙台から青森の方が遠いのです。 
我々の祖先は東北を大昔から「陸の奥」と書き、”むつ”または”みち のく”と読みました。
【みちのく】とは道の奥であり、はるかに遠い国であることをしめして いました。仙台も青森も同じ陸奥の国であったため、仙台が東京よ り青森に近い感がするのは無理からぬことでしょう。

北海道は、その遠い【陸の奥】からさらに海峡を越えて行くのですか ら、地の果てに行くようなものです。その昔、朝廷に反抗した者たち が住む場所と言われていました。
北海道はそれらの者が住む場所と考えられ、蝦夷(えみし)の国と 呼び蝦夷(えぞ)と音読したのです。それが子々孫々に語り伝えら れ、現在になっても北海道は遠く寒い所だとの感が残っていると思 います。 

日本の歴史を覗くと西暦700年代の律令国家の時代には、西はす でに大路が九州の太宰府まで通じていたのに、東はようやく中路が 仙台から山形県の遊佐まで通じており、小路が衣川の少し北まで開 かれていただけで、それから先は蝦夷征討の軍が往来するような 始末でした。このことは近年まで尾を引き、特に海をへだてた蝦夷 地は中央文化の影響はなく、アイヌ人たちの文化が深く根をおろし ていました。その名残はいまも北海道のいたるところで見られ、地 名、生活となって残っていて、本州の旅行者が北海道を訪れると、 異なった地に遊ぶ思いをさせられます。

また、都会に住む人間にとって、農村風景に接しますと、そこに古里 を感ずることが多いが北海道にはそれがありません。広大で雄大な 原野の北海道では、こじんまりまとまった古里は感じないのです。い いかえますと、どこか日本ばなれしており、オホーツク海に面した紋 別地方などは、シベリアのある地を訪れた思いがしてくるといわれま す。

開発のおくれた地には、それだけ自然が残っているのは当然で、ま してや地味でやせた土地の多い北海道は、やむなく開発を放棄され ていたのもしかたがありません。
しかし、北海道の開発も明治以後には進み、北海道はようやく百数 十年をかけて、その基礎ができつつあります。そしてこれからも大規 模に開発されようとしています。

しかし、日本の各地に見られるような野放図な開発を、自然を大切 にすることを知った国民がもう許すはずはありません。開発というう たい文句にのって、ほとんど自然をほろばしてしまった日本人にとっ ては、この北海道こそ、日本に残った唯一の大自然として大切に保 存しようと努力することになります。だから、北海道はいつまでも緑 豊かなネーチャーランドとして残ることになります。北海道の大自然 は、豊かな緑や原野に咲き競う色とりどりの花ばかりでなく、日本を 代表する野獣や野鳥にこよない住処を与えています。

日本最強の猛獣であるヒグマや海獣トドがいるかと思えば、かわい い鳴き声をあげるナキウサギがおり、ゆうゆうとあたりを睥睨するオ ジロワシがいますし、端正な姿をしたタンチョウヅルや、端正美の化 身と思われるオオハクチョウが舞います。
川にのぞめば、産卵のため身体をすりあって、多数のサケがのぼっ てくるなど、大自然は惜しみなく彼らに楽しい日々を送らせていま す。このように北海道は日本ただ一つ残った大自然郷なのでありま す。

最後に、北海道は味の宝庫といえるでしょう。そして豊かな産物は 簡単な調理ですばらしい味を発揮してくれるものばかりです。水産 物としては、カニ、イカ、ホタテ貝、ウニ、コンブ、サケ、シシャモな ど。原野のものはトウモロコシ、バレイショ、カボチャ、豆類があり、 広い牧場からは牛乳やバターを始めとした乳製品がありますが、そ のいずれもが簡単な調理で最高の味をだしてくれます。こんな所は 日本では北海道を除いてほかにありません。 

参考資料: 現在調査中です。

おわり




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