輪禍>若年と老年ドライバーの過渡特性



若年ドライバーはスピードの出しすぎによりハンドル操作を誤り事故 を起こし,老年ドライバーはノロノロ運転である,という認識が多いよ うですが,これは若年と老年ドライバーの対称的な所ではなく、実は 共通点なのです.

スピードの出し過ぎとノロノロ運転がなぜ共通点かと言うと,若年, 老年ドライバーの共通点として挙げた次の3点の中の[2.過渡特性 や定常特性が劣っている]に該当するからです.


  1.予見能力が低い。
  2.過渡特性や定常特性が劣っている。
  3.協調性が低い。


過渡特性や定常特性が悪ければ,クルマは不安定になり危険な状 態に陥るか,あるいは応答が非常に遅いために危険回避が不能に なるわけです.前者は若年ドライバーの無謀運転,後者は老年ドラ イバーのノロノロ運転に該当します.

スピードを出さない老年ドライバーが事故を起こすのは,1,2,3全 てに該当するわけですが,2について検討すればそのわけが分かり ます.つまり過渡特性が劣るため危険回避のための敏速な操作が 出来ずに事故に遭うのです.

たとえば乾燥路面において40Km/hで走行しているクルマを、危 険回避のために停止させる場合,普通であれば15メートル前後で 停止できます.しかし老年ドライバーの場合はこの距離が非常に長 いのです.老年ドライバーは危険を認識してブレーキ操作を行うまで の時間がかかるため空走距離が長く,更に腰の力が弱いため十分 なブレーキ操作ができません.そのために制動距離が長くなりま す.
他車が追い越してきて、すぐ割り込まれた場合も,過渡特性が優れ ていれば敏速に危険回避ができる場合が多いのです.

しかし,それ以前に1.の[予見能力が低い]ことも原因になっている のです.追い越された場合,割り込まれるかどうか[予見]できなけ れば危険であり,更に60Km/hの公道を危険な状態でもないのに 20〜30Km/hで走行する自体が問題なのです.

以前,右翼の宣伝カーが230号線をノロノロ運転で走行し,渋滞を 招いたとし道路交通法違反で検挙されたことがありましたが,1,2 の他に3に挙げた[協調性]も重要なことなのです.

おわり




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